こんにちは。もう9月も半ばなのに相変わらず暑い日々ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
私は毎日、就寝前と起床時の気温差に苦しめられています。夜は涼しいのに…。
さて、今回は前回に続いて、現在参加中の「オトナノタツコン2022」に関するお話。
遠隔投票・通販のお知らせと、今回の参加作品について解説のようなものをしたいと思います。
遠隔投票・通販用のページはこちら↓
https://www.t2y.info/artist01/16044.html
私は今回、No.27で参加しています。
ありがたいことに原画は初日にお迎えいただいていたようです。ありがとうございます!!
投票はまだまだ受付中です。
作品情報ページにはスキャンした画像を載せていただきましたが、相変わらず原画の色を再現できてません。
今回は特に背景部分の色合いが複雑すぎて、私の拙い加工技術ではどうにもならず。
現地へ行かれる方は、掲載画像では見えない部分を是非見ていただければと思います。
こちらの遠隔投票・通販用ページからは全参加作品(100点)の画像を閲覧できます。
通販は9月21日(水)18時、遠隔投票は9月23日(金)18時で受付終了。
(毎年、期限後の申込が複数あるようです。ご注意ください。)
遠隔投票は、専用フォームに入力して送信することで投票完了となります。
一部の機種はフォームに対応していない場合がありますが、遠隔投票はあくまでコロナ対策で実施されているものです。ご了承ください。
フォーム製作者は今回No.11で参加されているあべゆりさんです。いつもありがとうございます。
投票は1人4票。必ず4人の作家を選んでください。
それより多くても少なくても無効となりますのでご注意を。
投票用紙は印刷されて作家本人へ渡るようになっています。
龍屋さんのアートコンペは、この「投票用紙を作家へ渡す」ということが目的になっているそうです。
是非感想も添えていただけますと、参加作家たちの今後の活動の糧になります。
ご協力いただける方は、遠隔投票時の注意事項をよくご確認お願いいたします。
ここから先は、参加作品についてのながーい長い解説。
毎度のことですが、半分くらいはただの自分語りですのでご注意(自己体験がダイレクトに創作に繋がっているような人なので、ある意味仕方ない部分はあるのですが…)。
長い文章は嫌いなんだぜって方はここで画面閉じるか、最後のブロックまで飛ばしましょう。
①「わたしのゆめ」(2022年)

絵を描く少女。私の作品にたびたび登場する例の彼女です。
こどもが自由に、何に恐れることもなく夢を思い描くことができる。
そんな様子を、周りの人も心穏やかに見守ることができる。
「やさしい世界」を自分なりに突き詰めた結果、こういうことを言うのかな、と思いながら制作しました。
タイトルは、彼女が思い描く夢というのともう一つ、「作者自身の夢」という意味もかけています。それについては後ほど。
②使用画材等について
使用画材は油性色鉛筆(ファーバーカステル「ポリクロモス」)、パステル(ゴンドラ)。
支持体はホワイトワトソン水彩紙。
…作品情報として出しているのは以上なのですが、実はこれらに加えて今回大活躍だったのが消しゴム。
普段から消しゴムで白抜きしたり色味調整したりというのはしているけれど、あぁこういう使い方もできるんだなと描きながらいろいろ学んだ作品でした。
背景が過去最大レベルで複雑な色合いになったのは大体これのせい。
ちなみに、これが「イレージング」という名前の技法だということを知ったのはつい最近のこと(よく知らずに20年以上やってた)。

③作品のテーマについて
今回の「オトタツ2022」、全体テーマは「人にやさしく」。
もちろん今回も元ネタの楽曲があるのはわかっているのですが、また自分にはあんまり馴染みのない曲だったので(すみません)、言葉通りに解釈を進めることにしました。
「人にやさしく」を解釈する上で、まず考えたのが「やさしくないと感じるものは何か」。
やさしいにもいろんな意味があるので、それ自体はいくらでもエピソードは出てくるということで、逆から考えてみることにしました。
そこで思い至ったのは、「やさしくない=弱い立場の存在が健全に過ごせない」ということ。
世界が自分に「やさしくない」、厳しいと感じるのは、問題に対して自分の力がどうしても及ばないと思えるときだなぁ、と。
また、もし身近に何か困っている人がいたとして、自分が力及ばず助けられなかったとしたら、その人は助けてくれない私に対して「やさしくない」と思うかもしれない。
どうしてもその誰かのためになりたくて全力を振り絞ると、今度は自分に対してやさしくする力まで失ってしまう。そして、結局誰にもやさしくできなくなる…。
そんな、もうどうしようもない悪循環を思い浮かべて頭が痛くなりました。
人にやさしくするというのは、自分自身にある程度の余裕がないと難しい。そういうことだよな、と。
そして、この悪循環は巡り巡った結果、元々弱い立場にいる存在ほどその煽りを受けていく。
そこまで考えた結果、私がこのテーマで描くべきものが見えてきました。
それが、「こども」です。
まだ1人で生きる術を持たない状態で、何かあっても抵抗すら難しく、周りの影響を理不尽に受けていく。
育てる立場にある周りの人間たちも、自分1人生きるより遥かに多くの力を注ぐことになるので、どうしたって余裕がなくなる。
ここで例の悪循環が発生し、命に関わる事態になった事件・事故のニュースは残念なことによく流れてきます。
それらを見るにつけ、私は心を痛めつつ、「やはり私は今はこどもから距離を置くべきだな」と思い直す日々。
実は私、こどもが苦手なのです。こどもにやさしくすることができない人間です。
理由は、自分自身が生きるのに精一杯すぎるから。(主な敗因:コミュ障、自己喪失感)
常に余裕がないせいで、こどもの相手などしようものなら無意識に何をするかわからないので自分が怖い。
困ってそうなこどもを見かけても、意識しすぎて身構えてしまって何もできないし(大人相手でもまともに会話できないので無理ゲー)、そもそも今の世の中的に自分が不審者に見られそうなので遠くから見守ることしかできない。
職場(一般商店)で迷子に遭遇し、勇気を出して対応に乗り出したこともありましたが、全力で泣かれてしまって結構トラウマになってます。
一時期かなり真面目に考えていた教職の道も、生徒への対応に自分が(余裕なさすぎて)専念できない不甲斐なさを教育実習時に思い知って諦めたんだったなぁ、とか、余計なことまで思い出しました。
ただ、正確にはこども自体ではなく「こどもを相手するのが苦手」なので、やさしくするべきだと思うし元気に過ごしてほしいという心はある。常にジレンマを抱えている状態。
自分自身が第一だけど、どうにかなってほしくて目線だけは向けている。
思想だけ高尚な、無能な傍観者様なのです。私は。
いつか自分自身の問題を克服し、自信を持って周りのいろんなことに対応できるようになったら。
こどもが安全な場所で、危険を感じることもなく、思いのまま自由に夢を描く。
その様子を穏やかに見守り、この先も危険なことがないように周りと協力しながら支えていく。
そんな、当たり前だと思いたいやさしい世界。私も作るためにできることをしたい。
自分自身のことをやり尽くした後の老後は、もうそれのために専念してもいいかもしれない。
何もできない現状の私の分もやるために。
今回描いた作品の場面は、私自身の遠いか近いかわからない未来の夢でもあるのです。
④制作でこだわった点

今回の作品、実は一番力を注いだのは背景部分。
ここは、絵を描いている少女が思い浮かべているものを表しています。
こどもの頃っていろんなことを考えているけれど、大人ほどモノを見ていないので、思っていることを脳内で具体化するのも追いついていないのではないかな、と。
たくさんの色を持ちながら、ちゃんとしたカタチにはなっていない。
ごちゃごちゃ混ざり合ってるけど、不思議とキレイに見える。希望で満ち溢れている。
そんな複雑な様子を表現できないものかと奮闘した結果がこちらでございます。
自分がこどもの頃に絵の具で絵を描いたときのパレットがこんな感じだったかな、とか思い出しながら。
この部分は大雑把に説明すると、パステルで色をランダムに乗せる→ぼかす→消しゴムでランダムに削る→ぼかす→また色を乗せる…の繰り返しで出来ています。
消しゴムで削る工程は、今回はこどもでも簡単に描けそうだということで、フリーハンドの丸や線を何層にも重ねて消しゴムで描きながら消していきました。
その上からまた何度も色が乗せられてるので、その跡は原画で見るとなんとなーくわかるかな、くらいの微妙な残り方だと思います。
スキャンしても上手く拾ってくれない複雑な色合いになりましたが、いい色が作れたなと我ながら満足。

また、画面下部にある画材については、私がこどもの頃に実際に使っていた記憶のある年代物のクレパスがモデルになっています。
(改めて見たら兄の名前が書いてあった。おさがりだったのか…。←そこは覚えてなかった)
まんま取り入れるのはまずかろうと思い(「クレパス」はサクラクレパスさんの登録商標ですし)、「こどもが使ってそうな何らかの画材」というぼかした描き方をしようと思ったのですが、わかる人にはわかりますよねコレ。箱の色くらい変えればよかったかな。
手に持っているのは茶。地面を描いているところです。
ある程度描けるようになってきたこどもの絵には地平線がよく出てくる傾向があるそうなので、まさにそれを描いているシーンにしました。
手前に転がしている色は赤・紫・水色・オレンジ・緑・黒。
黒が一番減ってるのは、人やモノを描いたこどもの絵では主線でよく使われてるイメージがあるから。
水色で塗りつぶしているのは空。
画面内には見えないけれど、きっと太陽も描いているだろうから赤も転がしてます。
紫は、他の色と間違えて取ったけど、戻すのがめんどくさくてそのまんま転がしている(あんまり使われてないから他よりも減ってない)。
…など、自分でもいろいろ想像しながら描いてました。
整然と順番通り並んだ画材って、使われてる感あんまりないよな、と。
実際、モデルになったクレパスも順番ぐちゃぐちゃで減り具合もバラバラでした。
⑤余談:作品に登場した少女の話



今回の作品で登場した少女ですが、私の作品を以前からご覧になっている方は見覚えがあるかもしれません。
昔から描いている創作キャラたちの中でも、ここ数年での作品への登場頻度が特に高いキャラの1人。
ちょっとしたらくがきのようなものも含めると、間違いなく一番描いている子です。
名前はニチコさん。


彼女は、私が今の名前で活動するようになってから生まれた比較的新しいキャラクターです。
(他の子たちは9割方、私が中学・高校生の頃というリアル厨二時代に生まれています)
私は主に2種類の絵柄で活動していますが、その中でも簡素な方の絵柄で描いていて、この絵柄を象徴するキャラとも言える子です。
彼女が出てくる作品は、彼女が「楽しかったこと」「興味のあること」「こうだといいなと思っていること」など、実は基本的に彼女の希望を表した構図になるよう意識していたり。
なので、喜怒哀楽のうち「怒」「哀」の表情は全くありません。
今回の作品は彼女が夢を思い描いている場面でしたが、こういう子として描いてるので、実は彼女のルーツとも言えるようなワンシーンでもあるのでした。言わないとわからないやつー!
以上、恒例の長文解説と小ネタ情報でした。
一般投票のあるコンペで得票のために解説をちゃんと読ませたいなら、こんな長々書くもんじゃないし、そもそも開催初日にさっさと出すべきだと思います。
ただ、相変わらず個人的には、「解説がないとわからないようなことはわからないままでいい。作品を見てどう思ったかが全て。」の精神なので。
気になったから裏話が聞きたいとか、投票で選ぶのに困ったから情報が欲しいとか、そういう人が出てきたときのために「せっかくだから」書いてる感があります。
結果に関係しなくても、興味のある方だけ後からでも読んでいただければいいかな、と。
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
同じような内容をTwitterの方にも後で流します。
オトタツは今年度で終わり。
残り9日間となりましたが、最後まで楽しんでいただければ幸いです。
それでは今回はこの辺で。ありがとうございました。